M リーグに求められる変化
リーグが始まった当初は見るのが楽しみで仕方なかった M リーグ、最近は楽しみでもなくなってしまった。2021-22 シーズンの試合は両手で数えられるほどしか見ていない。
見なくなった理由として、M リーグ以外の趣味が何個かできたこともある。しかし、2018-19 はほぼ毎試合見ていたことを考えると、1 ヶ月に数試合しか見なくなってしまったのは興味がなくなってしまった、という一言に尽きる。
麻雀自体は今でも好きである。月に数回はセットを組んで、麻雀に興じている。
最近の M リーグがつまらなくなってしまった理由はただ一つ、「変化がない」からだ。
今シーズンは"元"M リーガーという肩書ができたり、初めてチーム間での移籍が成立したり、変化は大きそうに見える。話題性はあったものの、対局そのものの見栄えはほとんど変わっていない。3年も見ていると、誰が何を切りそうかなんていうのは分かってきてしまうので、対局を見てもあまり新鮮味がなくなってしまった。
その中でも特にひどかったと思うのは、昨年の決勝リーグである。どのチームもエース級と言われる選手の連投で、ほとんど個人戦の様相を呈していた。
放送対局という観点からも、団体ごとの配信対局・麻雀最強戦などの大会などと比較しても、特に差異がない。
M リーグ、ひいては麻雀界には抜本的な改革が必要じゃないか?と思う今日この頃・・・
黒沢咲という女
黒沢咲は、M リーガーになる前から有名選手の一人であった。M リーグの看板を背負いながらも、ブレることなく打ち続けられている。実力だけでなく、強者のメンタリティも備わっており、どのチームにいても主力になれる選手の一人でもあるだろう。
彼女の特長は「高打点打法」であり、れっきとしたメンゼン派の打ち手である。ちまたではセレブ打法とも呼ばれている。テレビ対局で最大限実力を発揮する選手の一人といっても過言ではない。
M リーグにおいては最近、副露率が低すぎることで話題になっている。20/21 シーズンで、現在副露率は 8 % らしい。東南戦で、一試合に鳴くか鳴かないかのレベルである(副露率が 30 % を超える小林剛とは天と地の差である)。副露率を低くしたいだけなら、素人にもできる。単にポン・チーしなければ良いだけなのだから。黒沢が鳴かないのは、彼女個人の価値観とそれに対する合理的な判断によるものである。
一般的なメンゼン派は、リーチして満貫を和了することに重きを置いている。ダブ東・ドラ 1 の手で東をポンしない人は結構いるが、満貫の場合は東はポンする。しかし、黒沢は・・・なんと、ポンしない。もはや跳満しか見てないのだろうか。セレブ打法というのは一味違う。
跳満しか見てない、というのは半分ジョークではあるが、押し返すなら高打点ではないと見合わないということだろう。役牌をポンして安い手で聴牌するくらいなら、手牌を 13 枚残しておいて、他家の攻めに対して守れるようにしたいというのが、彼女のスタイルなのである。
彼女が M リーグでも自分のスタイルを貫いていられるのは、自分の麻雀に対する自信と強者のメンタリティのおかげである。今まで勝ってきたからこそ、和了できない曲が続いても、腐ることなくじっくりと待ち続けることができるのである。
黒沢咲。これからも"セレブお嬢様"から目が離せない。
朝倉康心という男
ネット麻雀界での大躍進を買われて、U-NEXT Pirates の一員となった朝倉康心。
M リーガー一年目は、ネット麻雀打法を武器に強敵相手によく戦っていた印象。よくやるじゃないか!と感心した。なにより、テレビ対局特有のメンゼン重用思考に対して、鳴きを主体とした現代ネット麻雀で挑んだ姿は、とてもカッコよかった。
M リーガー二年目は、チームとしては優勝したものの、はっきり言って決勝での大三元くらいしか印象に残っていないくらいの影の薄さだった。ただ、麻雀の内容自体が悪いわけではなく、単に運が悪かっただけのように見えた。
M リーガー三年目、彼は今岐路に立たされている。対人対局に慣れていないの?といったミスを連発。髪型を派手にした日に、まさかの誤ツモをしたのは、印象としては最悪である。人間だれしもミスはあるといえども、あれはいろいろな意味でショックが大きい。メンタルに大きなダメージを負ってしまった影響だろうか、鳴かず飛ばずの日が続いており、このままでは来季の契約もあやしい雰囲気になってきてしまっている。
昔の朝倉康心=ASAPIN をよく知ってもいないお前が言うな、という話ではあるが、少なくとも M リーグから彼を見た人たちからは、こんな印象である。
M リーグのレギュラーシーズンも残り 30 試合程度。朝倉康心の復活をぜひとも期待している。
麻雀プレイヤーは科学者?芸術家?
ある本を読んでいて、面白いフレーズに出会った。
ある職業では、データ収集や分析を嫌う傾向にあった。その人たちは、自分をみんながほとんど同じことをしている大きな体系の一部ではなく、自分が体系の支配者であると捕らえたがった。
こういう人間は、科学者ではなく芸術家気質だという。
科学者はデータ収集・分析を絶え間なく行って、普遍的な法則を見つけ、それに従って動くのが仕事である。麻雀は運の要素が強いように見えて、実はすべて確率と期待値で表現でき得るゲームである。それゆえ、鳴きの判断だったり、リーチ判断だったり、オリの選択だったり、ほとんどすべてに正しい解答が用意されているといっても過言ではないであろう。人間の脳の容量には限界があるので、残念ながらすべてで正解の選択肢を導き出すのは不可能であるが、データを駆使できる麻雀プレイヤーは回数を重ねれば重なるほど、周りとの差が歴然になるはずである。
一方で、芸術家気質の人はデータというものを嫌う傾向にあり、「みんなと違うことをする」「周りがどう言おうとかまわない」タイプが多い。このタイプの麻雀プレイヤーは自分の感覚に従って打って、高打点の派手なアガリが多く、エンターテイメントに富んでいる。まさに芸術家といったところ。
・・・しかし、上のフレーズには続きがある。
データ収集・分析を怠ったがために、気づかないうちに小さなミスが重なり、最終的に悲劇を生むことになった。
麻雀というものは、別に自己表現が必要なものでもない。ビッグデータ関連の技術が発達したこの時代においては、麻雀は科学者であるべきであると思う。今はまだ流れとか感触だとかを大事にする麻雀プレイヤーが強いように感じられるが、これから若い人たちが打ち負かしていってほしい。
Mリーグ 19/20 レギュラーシーズン感想
二年目の M リーグもレギュラーシーズンが終わってしまった。なかなか真面目に見る機会を得られず、打牌をチェックすることができていない。準決勝・決勝はちゃんと見たいなあ・・・
レギュラーシーズンの感想を、順位順に述べていく。
第 8 位:EX 風林火山
去年の結果と併せて考えると。このチームは滝沢の好不調に左右されるチームのようだ。
来季は新しいメンバーを加えて、チームに新しい風を吹かすべきである。鳴きを多用する攻撃型の選手を入れるのがベストか。
第 7 位:赤坂ドリブンズ
さすが去年の優勝チーム。-400 pt の絶望的な状況から、終盤はボーダー争いに食い込んでリーグを盛り上げてくれた。
園田が個人成績最下位という結果に終わったのが敗因だろう。成績が良かった村上と打ち消しあってしまった。麻雀は運だけではないというが・・・いかに。
油断や慢心はなかったとはいえ、ド新人の丸山をドラフトで取ったのも良くなかったかもしれない。
第 6 位:U-NEXT Pirates
朝倉は終盤に連続ラスを引き続け、一時はドリブンズに抜かれるも、最終的にはギリギリのところで勝ち残った。最終日の小林連投は、なかなか見物だった。
このチームの準決勝・決勝での打ち方を見てみたかったので、個人的にはうれしい。
第 5 位:チーム雷電
「魅せる麻雀」をモットーにしているチームらしいが、去年から何も学んでいないようである。レギュラーシーズンは固く打って、スペクタクルな麻雀は決勝まで取っておくべきでは?
とはいえ、このチームが勝ち上がったのはエンタメ的に見どころがある。萩原が決勝で何かやってくれないか、楽しみである。
第 4 位:KADOKAWA サクラナイツ
沢崎が調子を落とすことなく、難なくチーム最初のレギュラーシーズンを上位で終えた。
沢崎が稼いだポイントを後ろ盾に、岡田がルーキーらしく自由に打ち、内川が調整役に回る。とてもバランスの取れたチームであった。
これから先、岡田がポイントをどれくらい稼げるかがカギになるだろう。
去年と打って変わって、高宮が好調だったのがチームが上位にある要因であろう。チーム・ガラクタと揶揄されるが、素直にアガリに向かう姿勢の大切さを教えてくれる。
藤崎という守備型の調整役が加わったおかげで、より攻撃型の 3 人が輝いた。去年はファイナルシリーズで悔しい想いをしたが、今年はどうなるか楽しみである。
第 2 位:渋谷 ABEMAS
終盤、多井の連投で一気に浮上。去年は個人最下位に沈んだ白鳥も奮起して、大幅なプラスで終え、余裕の勝ち上がり。
日向は別として、松本の真価が問われている。若武者よ、がんばれ。
第 1 位:セガサミーフェニックス
近藤がラス回避率トップ・魚谷が個人賞と半荘最高スコア・チームはトップ通過と、レギュラーシーズンのタイトルを総なめ。
終盤戦は魚谷の二回の役満でたたみかけて、圧倒的大差での勝ち上がり。
アマゾネスという二つ名に負ける和久津が少々気がかり。リーグに馴染めないままファイナルを迎えると、大事な場面で選択を間違いかねない。
Mリーグ 19/20 前半戦雑感
突如として仕事が忙しくなったり、見るよりも打つ方が楽しいなと思って麻雀をリアルで打っていたり・・・そんなこんなで真面目に打牌チェックできるほど、ちゃんと対局を見ることができませんでした。
あっという間に終わってしまった前半戦(中盤戦すら終わりに近づいているけれど笑)の雑感を各チーム順位順に書いていく。
8 位:ドリブンズ
驕りとまでは言わないものの、油断していたのかと思われる最下位。ここまで沈むと、もはや運が悪かったとは言えないのではないか?
選手起用法に関して。序盤で前回優勝メンバーで稼ぎつつ、余裕のある時期に新メンバーの丸山を慣れさせるために打たせようと思っていたのかもしれないが、まったくそのような展開にならず、歴の浅い丸山にも責任が重くのしかかってまともに打てる精神状態ではなさそうに見受けられる。
7 位との点差すら 400 pt くらい開いてしまっている現状、もはや毎局が条件戦みたいになってしまっている。
7 位:麻雀格闘倶楽部
去年と同様、寿人の浮き沈みがチーム成績に直結しているように思える。
新メンバーの藤崎は、点数を稼ぐ役割ではなく調整する役割であろう。
寿人と高宮にはこれからも自由に打たせるのがいいでしょう。ただ、前原はもう少し自重したほうが良い気がする。
6 位:風林火山
序盤は調子が良かったものの、滝沢が下位を連続で取ったあたりから下がり続け、いつの間にか 6 位まで落ちてしまった印象。
このチームは新メンバーを加えた方が良かったと思う。終盤はボーダーを行ったり来たりして、先に進んでもセミファイナル止まりであろう。
5 位:Pirates
Pirates はボーダーを行き来するタイプのチームという感じで、この順位は想定内であろう。
ニューフェイスである瑞原はなかなか肝が据わっている印象を受ける。前年からチームにいる 3 人にとっては良い刺激になっているだろう。
このチームは、90 戦は自分たちのスタイルで打ち続けるのであろう。その先に進んだ時に、スタイルを変えてくるのか。それが見たいので、セミファイナル・ファイナルへと進んでほしい。
そして、このチームは打牌選択についての解説や自分たちの思考を何個かしてくれるので、とても勉強になってありがたい。ぜひ、勝ち続けてほしいチームである。
4 位:ABEMAS
去年から 1 人だけ新メンバーが加わって、去年にも増してバラエティ豊かなチームになった印象。全員の打ち筋が違って、おもしろい。
個人的に、白鳥の麻雀は見てて参考にしたいと思う。去年は個人最下位だったが、今年は現在上位にいるので、これからに期待。
(多井はもう少し静かに解説してほしい・・・・)
3 位:雷電
とにかく打点を稼いで上位を狙うチームである。
雷電の麻雀はおもしろいか?と聞かれれば、個人的には NO である(嫌いなわけではない)。とにかく門前で進めて、高打点の手で相手を粉砕戦略であろう。去年は終盤に大失速したことを学んでいないようである。自分たちのスタイルを貫くのは構わないが、去年最下位になったことをもう少し考慮したほうが良いと思う。
スペクタクルな麻雀はテレビ的には興奮するかもしれないが、それは予選リーグでやるべきことなのか?少々疑問である。
2 位:フェニックス
男子 1 人・女子 3 人という、M リーグのチームの中でもなかなか攻めた構成である。
近藤は去年からずっと上位をキープしている。牌効率よりも経験から打牌選択をすることがあるというようなことを以前発言していたような気もするが、そう言われても反論できない好成績を残している。勝負強い近藤が柱になって、ほかの女流はプレッシャーなく打てていると思われる。
序盤は和久津が雰囲気に気圧されて馴染めずにいたようだが、中盤以降和久津がトップを取るようになってから、一気に上位へ駆け上った。今年はファイナルまで狙えるのではないか。
1 位:サクラナイツ
とても目立つピンクユニフォームのニューフェイスが今期の M リーグを席巻している。
リーグ最年長の沢崎がとにかく稼いでいるおかげで、ルーキー(かつ広告塔)の岡田がほぼノープレッシャーで打てている。岡田にとってもいい経験になっているだろう。内川も実力のある打ち手であるので、200 pt はセーフティリードと思って正しい選択ができている。
沢崎が沈み始めた時にチームがどうなるか、気になるところである。
M リーグ 19/20 観戦記 第 2~4 週
あまり M リーグをよく見ることができていません。やっぱり毎日見るのは難しいな・・・
全体的に、滝沢のプレースタイルが好きで、自分も真似したいと思っている。
まあ、現代式のスピード麻雀の逆流を行っているように見えるけれども。
〇10/10
東 4 局での園田の鳴き
嵌 7m をチー。これは役牌バックのいたって普通の鳴きである。しかし、この後が園田流であった。なんと、積極的に筒子 447p および索子の両面 23s を落としていったのである。
萬子の混一色あるいはドラ東を持っているように見え、他家はケアせずにはいられなくなり、少しオリ気味に打たざるを得ない。
ペースを乱されるうちに、中を暗刻にしてドラの東単騎に仕上げた園田。結局、親の滝沢が聴牌時に放銃する結果となった。
(これは滝沢らしくない放銃に見えたが・・・)