黒沢咲という女

黒沢咲は、M リーガーになる前から有名選手の一人であった。M リーグの看板を背負いながらも、ブレることなく打ち続けられている。実力だけでなく、強者のメンタリティも備わっており、どのチームにいても主力になれる選手の一人でもあるだろう。

 

彼女の特長は「高打点打法」であり、れっきとしたメンゼン派の打ち手である。ちまたではセレブ打法とも呼ばれている。テレビ対局で最大限実力を発揮する選手の一人といっても過言ではない。

 

M リーグにおいては最近、副露率が低すぎることで話題になっている。20/21 シーズンで、現在副露率は  8 % らしい。東南戦で、一試合に鳴くか鳴かないかのレベルである(副露率が 30 % を超える小林剛とは天と地の差である)。副露率を低くしたいだけなら、素人にもできる。単にポン・チーしなければ良いだけなのだから。黒沢が鳴かないのは、彼女個人の価値観とそれに対する合理的な判断によるものである。

 

一般的なメンゼン派は、リーチして満貫を和了することに重きを置いている。ダブ東・ドラ 1 の手で東をポンしない人は結構いるが、満貫の場合は東はポンする。しかし、黒沢は・・・なんと、ポンしない。もはや跳満しか見てないのだろうか。セレブ打法というのは一味違う。

 

跳満しか見てない、というのは半分ジョークではあるが、押し返すなら高打点ではないと見合わないということだろう。役牌をポンして安い手で聴牌するくらいなら、手牌を 13 枚残しておいて、他家の攻めに対して守れるようにしたいというのが、彼女のスタイルなのである。

 

彼女が M リーグでも自分のスタイルを貫いていられるのは、自分の麻雀に対する自信と強者のメンタリティのおかげである。今まで勝ってきたからこそ、和了できない曲が続いても、腐ることなくじっくりと待ち続けることができるのである。

 

黒沢咲。これからも"セレブお嬢様"から目が離せない。